:これに尽きる。

iPad。今まであったものを大きくして出来ましたというハードに見えなくもないが、大きくなると、1人称(iPhone)だったものが、2人称、3人称になるという好例になる気がします。情報を持ち運ぶ、見る、シェアすると言う事がこんなに楽しく面白いものであると再認識させてくれるものになりそうだ。
さて、Appleが大袈裟に言わないけど「縁の下の力持ち」になってるのは、独自開発チップの「A4」である事には疑いの余地はない。CPU、GPU、各種コントローラを1チップに納めて、低コストと低消費電力を実現したチップだ。このチップ無くして、iPadは登場し得なかったであろう。想像になるが、最初はAtomで出そうと思っていたに違いない。しかし、Intelと話をして行く中で、独自チップを自社内で抱えて開発するのが良いという結論に至ったのだろう。そしてP.A. Semiを買収してしまった。この決断がすごい事を生み出した。
ハードを設計し、ソフトを構築し、デザインを確立し、チップまでカスタムで作り上げる。Appleはメーカではあるものの、モノを自社工場で造る事はない。この部分がとても大事だ。造る事はないが造るノウハウを常に蓄積し続けている。ハード設計のノウハウ、ソフト設計のノウハウ、デザインをまとめあげるノウハウ、そして、電力コントロールのノウハウ。Appleは他社でまかなえる事には興味が無く、どうにかしなければならない事には、知的ノウハウの蓄積を目的に拡大し続ける。その集大成がA4という答えを導き出した、iPadということになる。しかもA4とiPhoneはCPUの命令コードが違うはず。x86系とPowerPC系ほどの違いは無くてもRosstaの経験は生きているはずだ。あれだけ移行に大体的なパフォーマンスをしたのも今となっては、鼻息程度でアナウンスもせずクリアしている。これも、ノウハウ蓄積の結果だ。
恐ろしいことになった。
Nexus OneAppleに近づいたと思ってたGoogleiPadでモノの見事に突き放されてしまった。しかも行き着いた先は、ハードは愚か、自分好みのチップを作り上げるノウハウとそのチップにピッタリのソフトウエアを造れるノウハウ。さらには、それを無駄にしないデザインを出来るノウハウ。すべてをしっかりとまとめあげられるノウハウ。Appleが5兆円企業になったというが、それにふさわしい、いや、もっと大きくなる可能性を秘めた。そんなiPadの発表なのである。
ハードとソフトを一体で造ると言った事はAppleにとっては、過去の話なのである。