:NHKホールについて思う。

渋谷の頂上に、NHKホールがある。周りにCCLemonホール、SHIBUYA-AX、があり、音楽文化の発信基地といえるべき場所である。その「ボス」とも言える、NHKホールもそこにある。代々木国立公園を入って散歩を飽きさせない距離の所にある。日本で一番良くTVに映るホールではないだろうか。NHKがコンサートやイベントの毎に使うからだ。番組が始まるときには必ず客席の拍手をもって始まる。祖父祖母がNHK謡曲をよく見ていたから、その光景はTV越しにはよく見てきた。そして山下達郎のライブで初めてその開場に足を踏み入れた。
ライブが始まったときに、番組が始まる時と同じ様に観客の拍手があった。びっくりした。昔からTVで見て聞いていた拍手の音と全く同じだった。あの拍手の音はNHKホールの音なのである。設計した人があの音が出る様にこだわってつくったのではないかと思えるほど、NHKホールの音だった。格調たかいすばらしきホールである。あの音が聞けただけでも、NHKホールに行けて良かったと思ったが、3/1のライブはPerformance 2008-2009の中でもTOP3に確実に入る良いライブだった。あのアカペラ以降のパフォーマンスは、くやしさとはずかしさとふがいなさが入り交じって、1つの「パッション」となって声に出た。そして、嬉しいリベンジと「最後の調べ」。あのギターソロはとんでもない技術力の固まりだ。最高のギターパフォーマンスと最高の美声をもってでしか達成できないクオリティが存在する。NHKホールを一人の人間が、興奮に包まれている開場だとしても、しっとりとした曲調にも関わらず、興奮のるつぼを開く。あれを聞いてしまうと、観客は帰られないですよ。
そして、期待していた小笠原拓海氏のドラムパフォーマンスは、確実にレベルが上がっていた。フェスで聞いた頃はパフォーマンスとしてはすばらしい物であったが、悪く言えば「むちゃくちゃ叩く」。角がたったようなパフォーマンスであった。それがシンバルをそっと叩く所から変わって行き、間奏のソロでもふわりとした感触の優しい演奏と鋭く尖ったソロを叩き分けていた。あのドラムパフォーマンスを聞けただけでも、NHKホールに行ったかいがあった。これが中野サンプラザの頃にどういう風に変化するのか。もはや予測不可能である。